各報道機関の世論調査で内閣支持率と併せて政党支持率も調査されます。「世論調査は公平な立場でランダムに抽出された調査群の中から一定信頼できる数を調査をする」と言うのは大前提だと思っています。そして「政党支持率は結果に一喜一憂するのではなく、傾向を見るもの」とは分かってはいるものの、支持している政党が上がればうれしいし、下がればがっかりもします。この世論調査では各新聞社でばらつきが出ます。どうしてこんなバラつきが出るのか?まずは出したい結果があるとしたら、それにも向かって多少の誘導は質問の仕方である程度できると思います。
私も電話で世論調査を受けたことがありますが、例えば「現在○○政権は△△の政策を推し進めています。あなたは○○政権を支持しますか?」と前にちょっと政権の目玉政策説明を入れるだけで△△の政策を進めて欲しい方は「支持をする」と答えるのではないでしょうか。又、政党支持率はほとんどが与党第一党(今なら自民党)から聞かれます。「面倒だ」と思った方はその場で切ってしまう方もいるでしょうが、積極的にどの政党も支持していない方は早く終わらせるために自民党を選ぶのではないでしょうか。その理由として政権与党支持の理由の一位は「他に良いところがないから」とかなり消極的です。野党、特に日本共産党を選択される方は、かなりの時間音声をじっと待って聞き、日本共産党を選択しています。これはかなり強い支持です。支持する理由も「庶民の味方になっているから」「国会での質問がまとも」などはっきりとした理由があるのも特徴です。政党支持率は民主党政権の時も第一党が高めに出る傾向があったそうです。やはりメディアへの露出頻度が影響しているのでしょうか。それを表すかのように、実際の選挙では第一党は支持率ほど得票率を得たことはなく、小さい政党は支持率よりも高い得票率を得ます。
ある大学の教授が学生に「どの政党を支持しているか?」と聞いてみたら圧倒的に自民党だったそうです。「どうして?」と聞くと「みんなが一番多く選んでいるから」「みんなで選んだ代表(政権)になぜ野党は批判するのか」このような答えを聞いて教授は愕然としたそうです。
自民党は選挙での得票は約1、800万票で、与党になっても野党になってもほとんど変えていません。これは有権者の約16~17%の得票率で実は有権者の5人に1人も自民党へは投票していないのです。小選挙区制度では1人しか当選できない為、第一党と第二党、巨大政党が圧倒的に有利な制度です。当選者以外の候補者に投じられた票は死票となり民意は反映されません。この小選挙区制度マジックで自民党は投票率が下がると2/3近くの議席を取ってしまいます。有権者の2割にも満たない得票で「力強い信任を得た」と言えるでしょうか。
だからこそ、多くの国民世論調査結果とは乖離した政策が進められてしまうのだと思います。多様な意見を聞いて慎重に審議を進めなければならないのは当たり前です。多数決は決して民主主義とは言えないのです。強行採決などもってのほかです。数に任せて採決してしまうのであればわざわざ議会で審議する必要はなくなります。政府は真摯に説明し、質問には答えながら、法案や予算案を審議をしてもらう立場です。ヤジを飛ばしたり等許される態度とは言えません。
「みんなが一番多く選んでいるから」と言ってそれが正しいこととは違います。民主主義とは何か?をもっと深めて行った方が良いかもしれません。