弱肉強食の本当の意味は?


ある質問コーナーに「自然では弱肉強食なんだから人間社会も弱者を助ける必要はないのではないでしょうか」と言うものがありました。これに対して生物学者の方から秀逸な返答があり、なるほどと納得しました。うろ覚えですが概ね以下の様な回答でした。「弱肉強食と言うと肉食獣が草食動物を食べる姿を思い浮かべると思いますが、トラとウサギはどちらが強いのか?すべての動物は必ず誰かに食べられるとの前提があります。トラも亡くなれば鳥やバクテリア等の他の動物の餌となります。生物学では1対1の対決ではなく、どちらの種が強いのかとの考えをします。世界中のいろんな地域に生息し繁栄しているウサギの方が種としては強いと言えます。寒い地域や暑い地域、山岳地帯から砂漠地帯まであらゆる環境に対応しているのはウサギの方です。今は適していない(と思われている)種が将来環境が変化したときに最も適応した種となる可能性があります。あらゆる気候変動、食糧事情、疫病等に対応できるためには、できるだけ多くの種類を残せる生物が最終的に強いと言えます。ですからみんなで助け合ってできるだけ多様性を持った多くの種を残すことが将来生き残る可能性につながります」人間も動物の仲間です。昔、いろんな他種の人類と争って生き残り、現在の人間になったことも研究結果で明らかになっています。現代人の祖先は集団での行動(狩や子育て)が得意だったことが生き残った要因とみられています。野生動物でも集団で子育てをし、種を繋げようとします。「今だけ自分だけ」との考えは本能で種を滅ぼすことを野生動物は知っているのだと思います。